|
::: スーパーテレビ情報最前線 ::: 人物・ドキュメンタリー ::: ★★★★☆
::: 2005年08月29日(月) 放送
平成13年8月・・・、 我々は “多重人格障害” という心の病に喘ぐ “ある家族” を約半年間取材、放送しました。そして頂いた数々の反響・・・、 『すごい夫婦愛』『ほんとかなぁ?』『日本にもいるんだ』『演技じゃないの?』 信じる人・・・、疑う人・・・。 受け取り方は実に様々、しかしその視聴者の反応も当然の様な気がしました。 なぜなら誰より取材を行う我々も最初は半信半疑だったのですから・・・。 そして放送から4年・・・、 今一度、我々は多重人格の妻とその家族に密着。 妻の病、そして心は徐々に癒え、今治療は最終段階を迎えています。 今回のスーパーテレビはカメラが見つめた “ある家族” 心の旅路・最終章です。
解離性同一性障害(多重人格)は、幼児期の虐待によって起こるとされる心の病。 虐待の辛さから逃れようと、本人自身が別の人格を創りだし、その辛い体験、記憶を別人格に背負わせてしまう。 虐待を受けたのは自分ではない、誰か別の人だと思い込み、苦しみから逃れようとする、脳の防御システムといわれている。 スーパーテレビでは、解離性同一性障害で、27もの別人格を持つという主婦を、平成13年から追い続け、ドキュメントしている。
アメリカでは1960年代から、本格的に研究・治療が始まったと言われている障害ですが、日本ではかなり立ち遅れているのが現状。 ライフスタイルが欧米型になっている状況を考えたら、専門家だけでなく、わたくし達ももっと積極的に、欧米の社会情勢や医療問題を知る必要がある思います。
このドキュメントを見て一番不思議だったのが、人間の脳のしくみですね。 よく “演技しているんじゃないか?” と言われる解離性同一性障害ですけど、年齢、性別、性格、趣味、話し方などの全てが人格によって異なり、主人格(本来の人格)はタバコを吸わなくても、別人格は吸ったりだとか、右利きなのに、左手で字を書けたりと、演技では到底誤魔化しきれない。 頭の中はどうなっているのか、見てみたい衝動にかられます。 でもよくよく考えてみれば、家族に見せる自分、友人に見せる自分、仕事仲間に見せる自分と、その時、その場の人間環境によって、みんな自己を使い分けているわけで、どれが本来の自分か? と訊ねられても答えられない。 その極端な例が解離性同一性障害と思えば、わからなくもない現象だ。 ただ、解離性同一性障害の人と決定的に違うのは、全ての記憶を本人が持っているということ。
解離性同一性障害の治療というのがまたすごい。 簡単に言えば、別人格を説得し、ところどころ穴あき状態になっている主人格の記憶を返してもらうのだ。 中でも興味深いのは、多くの人格の存在を知っていて、彼らとコミュニケーションが取れる、ボス的存在の人格に協力してもらうのが良いらしい。 それには長い時間をかけ、別人格と家族、医師との信頼関係を築くことが大事であり、粘り強く説得していく必要がある。 最終的にはどの人格も主人格に記憶を返してくれる。 記憶を返すと同時に別人格は消滅する。
しかし、本当に大変なのは人格が一本化した後だ。 忘れていた虐待のつらい記憶を、再び主人格が追体験していくのだから、これが一番苦しいことかもしれない。 全ての記憶が主人格に返されたとしても、その記憶を現実としてしっかり受け止めるまでの間、別人格の残骸がひょこひょこと現れてくる。 生まれたばかりの赤ん坊のように、とにかく頼りなく、かよわく、細い精神だ。 逃げ出したい状況に遭遇したら、いつでも別人格を創れてしまえる、そんな不安定な状況が続く。
他の番組で、母親に子供の時に、食事を作ってもらえなかったという育児拒否の虐待を受けた女性のドキュメントも見た。 その女性は、独身時代には一切自分で料理を作ったことがなく、全て外食か、コンビニで済ましていたという。 しかし、そんな彼女が母親となった時に、自分の母親と同じように、子供に食事を作ってあげることができなかった。
“自分は母親に一度も弁当を作って貰ったことがなかったのに、何故、自分だけは子供に弁当を作ってあげなければならないのか?”
そんな嫉妬心から子供を愛せなくなり、食事を作れなくなってしまったらしい。 この理屈は普通の人からみたら、何大人気ない事を言っているのかと思うところですが、そう感じた通りで、彼女の心は子供時代から全く成長していないようにみえる。 虐待というのは、人間としての精神的な成長を妨げてしまうということがよくわかる。 子供の頃に充分な愛情を与えられなかったり、精神的に不安になるような生活環境で育てられた人の人格(性格)には、差はあれど、ちょっと異質な感じを受ける。 現在この女性は、自らの行動に気づき、専門機関に相談、子供と別居し、生活保護と治療を受けながら暮らしている。
このような人達が子供を育てたり、社会環境に適応していくのはとても難しいことだと思う。 さらに一番問題なのが、虐待を受けた人は、自分の子供に対しても同じように虐待してしまう。 日本でも近年著しく虐待事件が増えているが、欧米と違い法律も行政も対応が遅れており、最悪の結果になる場合が多い。 また、一度別人格を創ることを覚えてしまうと、嫌なことや、絶えがたい苦痛にでくわす度に、容易に新しい人格を創ってしまうという悪循環を繰り返す根深さをもっている。
その人の考え方ひとつで、自分が受けた傷について、何で自分だけとネガティブに考えるか、こんな親にはなりたくないとポジティブな気持ちになるか、で大分違うように思えますが、自分は虐待なんかしないと思っていても、思わず子供を叩いてしまい、ひどい後悔の念に苛まれたりするそうですし、精神的なケアというのは本当に難しいものなんですね。 ただ、絶対的に言えるのは、必ず完治するということです。 今、子供に虐待をしてるかもしれない、また、虐待を受けて苦しんでる人、自分も大人になったら、子供に虐待してしまうかもしれないと不安に思っている人がいたら、病院や行政機関などでカウンセリングを受けて欲しいです。
こういう事例見ていると、子供は社会が育てるものという考えが本当に大切なことなんだと思う。
( ゚_ゝ゚) { 妻の中にいる27人の人格
|